【ペアレントトレーニングに行きはじめました】
昨年の秋頃に娘の発達の問題がだんだんわかってきたのだけれど、娘の場合は学業での問題はなく、学校でもそれほど目立った不適応があるわけではない。
あるのは、
・忘れ物が多い(特に持ち帰る方)
・あちこちに気が行ってしまって(視覚刺激に弱い)、時間を守れない
・友達とのコミュニケーションでは若干、間合いの取り方に難あり
という感じだけど、
まだ1年生なので正直クラスにはこのレベルの子はいっぱいいるし、彼女だけが突出して目立っているわけではなさそう。
幼稚園や学校では、おそらく無意識のうちに相当がんばっているのか、その分家では本来の「彼女自身」が全開で、そのギャップは結構すごいものがある。
とにかく、うちの場合は何と言っても一番の問題は、私と娘との関係の難しさ。
私は、1日中、娘が起きている間は、心が安らぐときがない。それは、彼女の誕生当時からずっとそうなのである。
出産当日までものすごく酷いつわりで、朝起きるたびに「今日もまた1日が始まってしまった。明日までどうやって耐えればいいんだろう。」と完全なる鬱状態だったが、出産はまさかの丸3日(前駆陣痛が長引いた・・・)、そしてその後に続く地獄は、つわり鬱&難産のはるか上をいく、想像を絶するものだった。
娘は生まれた時から、24時間体制で自分に全注目が向けられていないとダメな赤ちゃんだった。赤ちゃんなのになんと昼寝はほぼ無し、起きている間は冗談ではなく1日中泣き叫んでいた。多分、感覚過敏により常に何かが気に触るか辛かったのだろう、と今は思う。
まず出産直後から授乳がうまくいかず、授乳時の痛みがあまりにひどいので、そのことでまず私はすでに相当参ってしまっていた。
そしてもともと体力が人並みはずれてないのに、寝不足のところに昼も夜も金切り声で泣き叫ぶ赤ん坊を前に、私は産後すぐから「これは無理だ、やれない」と心が折れていた。
ほんとうに、寝ない子だった。
夜の寝かしつけの時間が迫ってくると、私は毎日体を強張らせて、暗澹たる気持ちになっていたものだった。まず基本的に朝から晩まで、一切床には置けない、つまり抱っこし通しで、自分のお風呂もトイレも抱いたまま入った。ベビーカーにも乗らなかった。体から離すと狂ったように泣く。で、夜になっても布団に置けないのだ。
寝かしたい時間になったら抱っこ紐に入れて、ひたすら歩き回る。家の中でダメなら近所をぐるぐる回る。そして抱っこ紐で寝たら家に帰って布団に降ろそうとするのだけれど、背中にセンサーがついていて、傾けると起きる。また半べそをかきながら抱っこ紐に押し込む。延々、この繰り返し。ほんとうに例外なく毎日、朝になるまでこれを3回も4回もやったのだ。夫も、毎日深夜過ぎに帰宅したあと、娘を抱いて明け方に近所を歩き回り、7時に家を出て会社に行った。
私の気力体力は最初の頃からすでに限界を超えていて、ただもう朦朧としながら、ぼんやりとした「でも、ほっておくわけにもいかない」という本能?で、奇跡のような最後の力で何とか1日1日やりきっていたのだった。
娘が朝まで寝るようになったのは、2歳を過ぎてからだった。
寝ないこと以外にも、とにかく過敏でいつもピリピリしていた。泣き声は普通の赤ちゃんとは全然違っていて、まるで焼け火箸でもあてられたみたいなテンションで、何時間も泣き続けた。電車などの公共の場所で泣き出すと一斉に注目を浴びるし、時々は「そんなに泣かせて、かわいそうに」みたいなことを言われる(100%おばさん)ので、外出から帰ると気絶しそうになる程疲れた。
やがて赤ちゃん期を過ぎると、強い「こだわり」が出てきた。
とにかく、言うことを、何がなんでも聞かない。
「やめなさい」と言われたことを、何がなんでもやめない。
保育園からは帰らせるのに毎日1時間かかった。道の途中で数メートルおきに何かに捕まって立ち止まり、10分の道のりは30分かかった。自分のやり方を横から邪魔されたら、最初のプロセスまで意地でも巻き戻し。地面に転がって泣き叫ぶ彼女を、冬空の下1時間も見ていたこともある。
ほんとうに、よく、生き延びたと思う。私も、娘も。
幼稚園に入る前までのことは、記憶にはあるのだけど半分はどこか、もやがかかったようになって、無理に思い出そうとすると情緒不安定になって泣けてきたりする。
完全に、トラウマである。
今でも、街でベビーカーに乗って静かにしている赤ちゃんの横でカフェでお茶しているお母さんなんかを見ると、それだけで涙が出てくることもある。
だからね、もう、生まれたときから、そしてその後の、私と彼女の間の最初の数年が、すでにトラウマの歴史なんだよね。
でも周りの同期?のお母さんとか、弟のお嫁さんなんかは「赤ちゃんはかわいい、ずっと一緒にいても飽きないよね〜」っていうトーンで、その落差がまた辛かった。
私は自分の娘をかわいいと思えず、1秒でも長く寝ていてほしい、目を開けないでほしい、と思っていて、毎日泣き暮らしていた。
そして、幼稚園に入る頃になると、言語表現の発達が早かった娘と私は、言葉のやりとりでも激しくやりあうようになっていった。
今思うと、彼女の身も蓋もないような言動や、人をコントロールして自分の要求を通そうとしたりする行動は、アスペルガーの特性から来ていたのだろう。でも当時はそんなこと知る由もないし、「どうしてこの子はこんなにしんどいんだろう。こんなに大変な子は、周りを見ても一人もいない」と絶望していた。
そんなこんなで、
【はじまり 〜娘と自分が発達障害かもしれないと気づくまで〜】 - なんだなんだ、そうだったのか
にも書いたように、その後今にいたるまで、私は娘とのことで悩み続け、希望の糸口を求めて模索してきた。
やっと、タイトルに結びついた。
ペアレントトレーニング。
これは娘の発達障害に思い当たってから割とすぐに探してきて、なんなら発達障害系の本をまだほとんど読んでもいない頃から、「やってみる価値があるかも」と思った。
それは、まず「この子自身を変えるのは、無理」と、それこそ肚の底から感じていたから。二人の関係がこのままこじれていっては取り返しのつかないところまで行ってしまう、私がこの子の人格を破壊してしまう、とずっと悩み苦しんできたけれど、向こうは子どもで私は大人で、関係性を改善する鍵は、私しか持っていない、と思ったから。
そして、自分の考え方を変えようといろんな本を読んだり、スピな方向を試したり、いろいろしたけれど、「自分」もまた、絶対変わらない、と思ったから。
それなら、変わらない大それたもの(持って生まれた性質とか、癖とか、心の持ちようとか)を無理に変えようとする悪あがきはやめて、「スキルを身につける」ことに目標をシフトしようと思った。
母親なのに、子どもをかわいいと思えない私はなんて酷い人間なんだろう。
今日もあり得ない残酷さであの子を追い詰めてしまった。
わかっているのに怒りが抑えられない。どうしてやめられないんだろう。
私はあの子の前から消えた方がいいんじゃないのか。
そういう、自己嫌悪の気持ちは、百害あって一利なしだとわかっている。
ネガティブな妄想をぐるぐると頭の中で暴走させて、それはすごく辛いんだけれど、もうパターン化された思考をオートモードで走らせているだけだから、本当はある意味、楽なんだ。で、毎日毎日、そのネガティブな妄想に身を任せていると、それをむしろどんどんどんどん、補強していってるんだ。
だから、その不毛な行為をやめて、同じような悩みを持つ人たちが実際に試してそれなりに効果があがっているような方法があるなら、それをまずはやってみたい。
「こういう考え方に変えればいいんですよ」とかいうことではなく、むしろ気持ちとは切り離して、具体的なスキルを少しずつでも積み重ねて身に付けたい。筋トレのように。
さて私は、本で読んでその瞬間は大きな衝撃を受けたり感動したりしても、これまでの経験上、自分一人で真似してできた試しがない。
まず初動の盛り上がりが続かないし、モティベーションも持続しないし、効果があるのかどうか、とか悩み出して途中でなんとなくモヤモヤとフェイドアウトしてしまう。
だから、通う場所があってガイドしてくれる人がいる、というのが絶対必要である。
と、いうことで、全8回コースの3回目まで、行ってきた。
本で読むだけと違って、人の口から教えてもらうというのはやっぱりいいし、何より宿題が出て、「次までにこれをやらなきゃいけない」という強制力が働くのがいい。
ただ実際はじめてみると、なかなか難しかったりもするわけで・・・そのへんはまた、次の機会に。